論語 / 為政篇
子曰:「非其鬼而祭之,諂也。見義不爲,無勇也。」
新字:子曰:「非其鬼而祭之,諂也。見義不為,無勇也。」
書き下し
子曰く、其の鬼に非ずして之を祭るは、諂いなり。義を見て為さざるは、勇無きなり。
現代語訳
先生がおっしゃった。「自分が祭るべき筋でもない霊を祭るのは、へつらいである。なすべき正しいことだと分かっていながら行わないのは、勇気がないのである。」
解説
短い二句だが、方向が正反対の二つの失敗を並べている。前半は、しなくてよいことを相手の機嫌のためにしてしまう過剰。後半は、すべきことを分かっていながらしない不足。人はどちらか一方に偏るのではなく、たいてい同時に両方をやる。上位者には過剰に気を遣い、正すべき場面では黙る。この二つは根が同じで、自分がどう見られるかを行動の基準にしていることから来る。孔子が「勇無し」と切って捨てたのは、悪事ではなく不作為である。義を知らなかったのではない、見えていたのに動かなかった。組織で最も高くつく失敗は、たいていこの形をしている。誰も反対しなかった、誰も言い出さなかった、という形で。