呂氏春秋 / 論威①
義也者,萬事之紀也,君臣上下親䟽之所由起也,治亂安危過勝之所在也。過勝之,勿求於他,必反於己。
新字:義也者,万事之紀也,君臣上下親䟽之所由起也,治乱安危過勝之所在也。過勝之,勿求於他,必反於己。
書き下し
義なる者は、萬事の紀なり。君臣上下親疏の由りて起こる所なり。治亂安危過勝の在る所なり。過勝の道は、他に求むること勿し、必ず己に反る。
現代語訳
義とは、万事の根本の綱である。君臣・上下・親疎の関係が生じるもとであり、治乱・安危・過勝(勝敗)の分かれ目のありかである。勝敗の道は、他に求めてはならず、必ず自分自身に立ち返るべきである。
解説
この段は、義こそがあらゆる秩序と勝敗の根本であり、勝利の道は外にではなく自分に求めよと説きます。論威篇は義兵すなわち正しい戦いを論じる兵論で、その冒頭で義を、人間関係と国家の治乱を貫く根本原理と位置づけます。勝敗も突きつめれば自らの在り方に返るとするのです。結果の原因を外部でなく自分に求めるこの内省の姿勢は、他責を避け、まず自らを整えることから始める現代のリーダーシップや自己責任の考え方にそのまま通じます。
この章句が説くこと
義義兵論威治乱勝敗内省
関連する章句
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『晏子春秋』雑上・崔慶劫齊將軍大夫盟晏子不與崔杼既に莊公を弑して景公を立て、杼と慶封と之を相け、諸将軍大夫、及び顕士庶人を太宮の坎上に劫し、盟わざるを得ざらしむ。壇を為ること三仞、其の下を塪り、甲千を以て列ねて其の内外を環らす。盟う者皆剣を脱して入る。維だ晏子のみ肯んぜず、崔杼之を許す。敢えて盟わざる者有らば、戟其の頸を鉤し、剣其の心を承く。自ら盟わしめて曰く、「崔・慶に与せずして、公室に与する者は、其の不祥を受けん」と。言疾からず、指血に至らざる者は死す。殺す所七人。次いで晏子に及ぶ。晏子杯血を奉じ、天を仰ぎて歎じて曰く、「嗚呼。崔子は無道を為して其の君を弑す。公室に与せずして崔・慶に与する者は、此の不祥を受けん」と。俛して血を飲む。崔杼、晏子に謂いて曰く、「子、子の言を変えれば、則ち斉国は吾子と之を共にせん。子の言を変えざれば、戟既に脰に在り、剣既に心に在り、維だ子之を図れ」と。晏子曰く、「吾を劫すに刃を以てして其の志を失うは、勇に非ざるなり。吾を回すに利を以てして其の君に倍くは、義に非ざるなり。崔子、子独り夫の詩を為まざるか。詩に云う、『莫莫たる葛藟、条枚に施く。愷悌たる君子、福を求めて回ならず』と。今嬰且に以て回りて福を求む可けんや。曲刃もて之を鉤し、直兵もて之を推すとも、嬰は革まらず」と。
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