言志四録 / 言志晩録 第二百五十六条 起処も慎まざるべからず
收結固爲難。而起處亦不容不愼。起處不是。則收結不完。
新字:収結固為難。而起処亦不容不慎。起処不是。則収結不完。
書き下し
収結は固より難しと為す。而れども起処も亦慎まざるを容れず。起処是ならざれば、則ち収結完からず。
現代語訳
締めくくりはもとより難しい。けれども始めのところもまた、慎まずにはいられない。始めが正しくなければ、締めくくりも完全にはならない。
解説
前条で「起すは易く収結は難し」と述べたのを受けて、一斎は、だからといって始めを軽んじてよいわけではないと補います。「起処」は物事の起こりの所、出発点です。始めのところで方向や手順を誤れば、後でどれほど努力しても締めくくりは完全にはなりません。易の訟卦の象伝に「君子以て事を作すに始めを謀る」とあるように、始めを慎重に謀ることは終わりを全うするための条件です。前条と合わせて読むと、始めと終わりを対にして考える一斎の周到さがよくわかります。プロジェクトの立ち上げ時に目的や前提を詰め切ることが、結局は最後の仕上がりを左右する、という経験則とも重なります。
この章句が説くこと
起処収結始終慎重
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