墨子 / 貴義
子墨子曰:今士之用身,不若商人之用一布之慎也。商人用一布布,不敢繼茍而讎焉,必擇良者。今士之用身則不然,意之所欲則為之,厚者入刑罰,薄者被毁醜。則士之用身,不若商人之用一布之慎也。
新字:子墨子曰:今士之用身,不若商人之用一布之慎也。商人用一布布,不敢継茍而讎焉,必択良者。今士之用身則不然,意之所欲則為之,厚者入刑罰,薄者被毁醜。則士之用身,不若商人之用一布之慎也。
書き下し
子墨子曰く、今、士の身を用うるは、商人の一布を用うるの慎しみに若かざるなり。商人、一布を用うるに、敢えて茍くも繼ぎて讎らず、必ず良き者を擇ぶ。今、士の身を用うるは則ち然らず。意の欲する所は則ち之を為す。厚き者は刑罰に入り、薄き者は毁醜を被る。則ち士の身を用うるは、商人の一布を用うるの慎しみに若かざるなり。
現代語訳
墨子が言った。いま士が自分の身を使うのは、商人が一枚の銭を使うときの慎重さに及ばない。商人は一枚の銭を使うにも、いい加減なものを仕入れて売ろうとはせず、必ず良いものを選ぶ。ところが士が自分の身を使うときはそうではない。心が望むままに行う。ひどければ刑罰に入り、軽くても悪評を受ける。だから士が身を使うのは、商人が一枚の銭を使うときの慎重さに及ばない。
解説
商人は一枚の銭を投じるのにも仕入れを選ぶのに、士は自分の一生をどこに投じるかを気分で決める。金銭の判断と人生の判断の慎重さが逆になっているという指摘です。小さな支出には稟議があるのに、人の時間の使い道には検討がない、という組織の話としても読めます。取り返しのつかないものほど、雑に決められがちだということです。
この章句が説くこと
慎重選択投資身比較
関連する章句
-
論語・為政篇子張禄を干(もと)むを学ぶ。子曰く、多く聞いて疑わしきを闕(か)き、其の余を慎言すれば、則ち尤(とがめ)寡なし。多く見て殆(あやう)きを闕き、其の余を慎行すれば、則ち悔寡なし。言に尤寡なく、行に悔寡なければ、禄は其の中に在り。
-
論語・述而篇子の慎む所は、斉・戦・疾なり。
-
孟子・離婁章句下孟子曰く、「以て取る可く、以て取る無かる可し。取れば廉を傷つく。以て與う可く、以て與うる無かる可し。與うれば惠を傷つく。以て死す可く、以て死する無かる可し。死すれば勇を傷つく。」
-
老子・第15章古の善く士たる者は、微妙玄通、深くして識るべからず。夫れ唯だ識るべからず、故に強いて之が容を為す。豫として冬に川を渉るが若く、猶として四隣を畏るるが若く、儼としてそれ客の若く、渙として氷の将に釈けんとするが若く、敦としてそれ樸の若く、曠としてそれ谷の若く、混としてそれ濁れるが若し。孰か能く濁りて以て之を静かにして徐ろに清まさん。孰か能く安んじて以て久しく之を動かして徐ろに生ぜん。此の道を保つ者は盈つるを欲せず。夫れ唯だ盈たず、故に能く蔽れて新たに成る。
-
孫子・行軍篇之を令するに文を以てし、之を斉うるに武を以てす。是を必取と謂う。
-
尚書・蔡仲之命小民を康濟するに、率ね中よりし、聰明を作して舊章を亂すこと無かれ。