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言志四録 / 言志晩録 第二百五十二条 心を以て暦本と為す

人情趨吉避凶殊不知吉凶是善惡之影響也。余毎改歲。題四句於曆本。以警家眷。曰。三百六旬。無日不吉。一念作善。是吉日。三百六旬。無日不凶。一念作惡。是凶日。以心爲曆本。可。

新字:人情趨吉避凶殊不知吉凶是善悪之影響也。余毎改歳。題四句於暦本。以警家眷。曰。三百六旬。無日不吉。一念作善。是吉日。三百六旬。無日不凶。一念作悪。是凶日。以心為暦本。可。

書き下し

人情は吉に趨き凶を避く。殊に知らず、吉凶は是れ善悪の影響なることを。余改歳毎に、四句を暦本に題し、以て家眷を警む。曰く、「三百六旬、日として吉ならざるは無し。一念善を作す、是れ吉日。三百六旬、日として凶ならざるは無し。一念悪を作す、是れ凶日」と。心を以て暦本と為さば、可なり。

現代語訳

人の情として吉に向かい凶を避けようとする。しかし吉凶とは善悪の行いが影や響きのように現れたものだということを、まったく知らない。私は年が改まるたびに、四句を暦に書きつけて家の者を戒めている。その句は「一年三百六十日、吉でない日は一日もない。一念でも善をなせば、その日が吉日である。一年三百六十日、凶でない日は一日もない。一念でも悪をなせば、その日が凶日である」というものである。自分の心を暦とすればよいのである。

解説

江戸の暦には日ごとの吉凶が書き込まれ、人々はそれを見て婚礼や旅立ちの日を選びました。一斎はこれに対し、吉凶は日にあるのではなく、自分の行いの善悪が影や響きのように返ってきたものだと言います。「影響」はもとは形に影が従い、声に響きが応じるという意味です。毎年正月に家族のために暦へ四句を書き添えたという記述からは、晩年の一斎の家庭での姿もうかがえます。どの日も吉にも凶にもなりうるのだから、見るべき暦は自分の心だというわけです。日取りや巡り合わせを気にする前に、今日の自分の一念がどちらを向いているかを確かめる、という判断の順序を示す一条です。

この章句が説くこと

吉凶善悪一念心家訓

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