言志四録 / 言志晩録 第二百四十九条 小才は人を禦ぎ大才は物を容る
小才禦人。大才容物。小智耀於一事。大智明於後圖。
新字:小才禦人。大才容物。小智耀於一事。大智明於後図。
書き下し
小才は人を禦ぎ、大才は物を容る。小智は一事に耀き、大智は後図に明らかなり。
現代語訳
小さな才の者は人を拒んで防ぐが、大きな才の者は人も物も受け入れる。小さな知恵は一つの事で輝くが、大きな知恵は先々の計画において明らかである。
解説
才と智をそれぞれ大小に分けて対比した一条です。才の小さい人は、自分の領分を守ろうとして人を寄せつけず、異なる意見や能力を排除します。才の大きい人は、多様な人や考えを包み込み、それを生かします。智の小さい人は目の前の一件で鮮やかに才気を見せますが、智の大きい人の知恵は、将来を見通した構想のうちに現れます。小才・小智は目立ちやすく、大才・大智はかえって目立たないものです。前の数条で人の長短の用い方を論じた流れを受け、人を用いる器の大きさを問うています。自分より優れた部下を遠ざけていないか、目先の成果に追われて長期の構想を失っていないか。リーダーとしての器を考える材料になる言葉です。
この章句が説くこと
器量才と智包容力長期的視野リーダーシップ
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・問學・只だ是れ器度小なり學者の大病痛は、只だ是れ器度小なり。
-
『十善法語』巻第六・不惡口戒秦ノ始皇カ古書ヲ燔キ。儒者ヲ坑ニシ。阿房宮ヲ造営セシ。晋ノ武帝カ羊車ニ乗テ後宮ニ遊ヒシ類。心ノ憍慢ヨリ起ル。実ヲ剋シテ云ハ。ミナ小器量ニ摂ス。若万民ヲ以テ子トセハ。儒者モ邪魔ニハナラヌ。天下ヲ以テ家トセハ。阿房宮ハ狭小ナル造営シヤ。天地陰陽ノ和合ヲ楽ハ。別ニ多人ヲ後宮ニ閉置ニハ及ヌシヤ。誠ノ大丈夫ハ此ニ異ナル所有ヘキシヤ。
-
歎異抄・第十二条たとい自余の教法は勝れたりとも、自らがためには器量及ばざれば、つとめがたし。 我も人も生死を離れんことこそ諸仏の御本意にておわしませば、御妨げあるべからず」とて、にくい気せずは、誰の人かありて仇をなすべきや。
-
人物志・接識故に一流の人は、能く一流の善を識る。二流の人は、能く二流の美を識る。
-
『呻吟語』内篇・問學・六合を含むこと一粒の如し學者は只だ是れ氣盈つれば、便ち長進せず。六合を含むこと一粒の如く、之を覓むるも見えず。一粒を六合に吐き、之を出だして窮まらず。大人と謂ふ可し。而して自ら處すること庸人の如く、初めより自ら表異せず。退讓すること空夫の如く、初めより自ら滿足せず。掌を抵ち臂を攘げて世に人無しと視るは、之を善を以て人を服すと謂はば則ち可ならんや。
-
『酔古堂剣掃』集峭・人に短有るは長を見はす所以作用有る者は、器宇定めて是れ凡ならず、受用有る者は、才情決然として露はれず。夫れ人に短有り、長を見はす所以なり。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る