言志四録 / 言志晩録 第二百五十条 妥貼易簡なるは即ち智
人就我謀事。須要妥貼易簡。不生事端。即是智。若過爲穿鑿。逞己才智。卻惹他禍。殆是不智。
新字:人就我謀事。須要妥貼易簡。不生事端。即是智。若過為穿鑿。逞己才智。却惹他禍。殆是不智。
書き下し
人我に就きて事を謀るには、須らく妥貼易簡にして、事端を生ぜざるを要すべし。即ち是れ智なり。若し過ぎて穿鑿を為し、己の才智を逞しうせば、却って他の禍を惹かん。殆ど是れ不智なり。
現代語訳
人が私のもとに来て事を相談するときには、穏当で簡明な答えを示し、もめごとの種を生じさせないことが必要である。それこそが知恵である。もし度を越して詮索し、自分の才知をひけらかせば、かえって相手に災いを招くことになる。それはほとんど知恵のないことである。
解説
人から相談を受けたときの心得を説いた一条です。「妥貼」は穏当で落ち着いていること、「易簡」は平易で簡明なこと。『易経』繋辞伝に「易簡にして天下の理得たり」とあります。相談に対しては、落ち着いた簡明な答えを示し、新たな問題の種をまかないことが本当の知恵だと一斎は言います。反対に、あれこれ深読みして凝った策を授け、自分の才知を見せつけようとすると、かえって相談者に災いを招きかねない。それは知恵どころか不智だと断じます。前の条の「小智は一事に耀く」にも通じる指摘です。部下や顧客から相談を受けたとき、自分の有能さを示すことに意識が向いていないか。相手にとって最も穏当な道を示せているかを問う材料になります。
この章句が説くこと
相談易簡智助言才知
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