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言志四録 / 言志晩録 第二百三十五条 一の誠の字を槌子と為す

形迹之嫌。不可以口舌辯。无妄之災。不可以智術免。莫如把一誠字以爲槌子。

新字:形迹之嫌。不可以口舌弁。无妄之災。不可以智術免。莫如把一誠字以為槌子。

書き下し

形迹の嫌は、口舌を以て弁ずべからず。无妄の災は、智術を以て免るべからず。一の誠の字を把りて以て槌子と為すに如くは莫し。

現代語訳

外に現れた形跡から受ける疑いは、弁舌で言い開きできるものではない。思いもよらない災難は、知恵や策略で免れられるものではない。「誠」の一字を手に握り、これを頼みの槌とするに越したことはない。

解説

状況証拠のような「形迹の嫌」、つまり外から見た様子だけで生じる疑いは、いくら言葉を尽くしても晴れないことがあります。また「无妄の災」は『易経』无妄卦の語で、自分に落ち度がないのに降りかかる災難のことです。これも知恵や術策では避けきれません。こうした自分の力ではどうにもならない場面で頼れるのは「誠」の一字だけだと一斎は言います。「槌子」は手に握って打ち込む槌で、誠を唯一の拠り所として握りしめる姿が浮かびます。弁明や策に走るとかえって疑いを深めることがあり、誠実に振る舞い続けることが最終的に信頼を取り戻す道になる、という考えでしょう。誤解や理不尽な出来事に直面したとき、何を拠り所とするかを考える材料になります。

この章句が説くこと

誠誤解逆境信頼易経

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