君子訓 / 巻之中
一凡國を亡す君も、其君一人の仕業にあらず。一人不德なれば、其臣下諂ひて、惡を勸め導くゆゑ、國亡ぶるにいたる。上より下をうたがへば、下も亦上を疑ひて、其心を盡さず。上誠を以て下を使へば、下も亦誠を以て上に應ず。自然のことわりなり。或は人を信じて欺かるゝ事あるは、上の心不明にして、佞諛を好み、偏愛に溺るゝ故なり。
新字:一凡国を亡す君も、其君一人の仕業にあらず。一人不徳なれば、其臣下諂ひて、悪を勧め導くゆゑ、国亡ぶるにいたる。上より下をうたがへば、下も亦上を疑ひて、其心を尽さず。上誠を以て下を使へば、下も亦誠を以て上に応ず。自然のことわりなり。或は人を信じて欺かるゝ事あるは、上の心不明にして、佞諛を好み、偏愛に溺るゝ故なり。
書き下し
一凡国を亡す君も、其君一人の仕業にあらず。一人不徳なれば、其臣下諂ひて、悪を勧め導くゆゑ、国亡ぶるにいたる。上より下をうたがへば、下も亦上を疑ひて、其心を尽さず。上誠を以て下を使へば、下も亦誠を以て上に応ず。自然のことわりなり。或は人を信じて欺かるる事あるは、上の心不明にして、佞諛を好み、偏愛に溺るる故なり。
現代語訳
およそ国を滅ぼす君も、その君一人の仕業ではありません。上の一人が不徳であれば、その臣下がへつらって悪を勧め導くので、国が滅びるに至るのです。上が下を疑えば、下もまた上を疑って、その心を尽くしません。上が誠をもって下を使えば、下もまた誠をもって上に応えます。これは自然の道理です。あるいは人を信じて欺かれることがあるのは、上の心が明らかでなく、へつらいを好み、えこひいきに溺れるからです。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
言志四録・言志晩録 第二百七十一条 誠の感応事を做すに誠意に非ざれば、則ち凡百成らず。疾に当りて医を請ふが如きも亦然り。既に托するに死生を以てすれば、必ず当に一に其の言を信じ、疑惑を生ぜざるべし。是くの如くなれば則ち我の誠意、医人と感孚して一と為り、而して薬も亦自ら霊有り。是れ則ち誠の感応なり。若し或いは弥日経久して、未だ効験を得ず、他医を請はんと欲せば、亦当に能く前医と謀り、之をして其の知る所を挙げしめ、而して与に共に虚心に商議すべくして可なり。是くの如くにして効無くんば、則ち命なり。疑惑すべきに非ず。然らずして衆医群議し、紛錯して決せざるは、室を道に築くが如く、則ち竟に是れ益無きのみ。
-
『格言聯璧』從政類・位無き底の卿相平日誠を以て民を治め、而して民之を信ずれば、則ち凡そ事を民に有るに、應ぜざる無し。 平日誠を以て天に事へ、而して天之を信ずれば、則ち凡そ禱ること天に有るに、應ぜざる無し。 平民も肯へて德を種ゑ惠を施さば、便ち是れ位無き底の卿相なり。
-
言志四録・言志晩録 第二百三十五条 一の誠の字を槌子と為す形迹の嫌は、口舌を以て弁ずべからず。无妄の災は、智術を以て免るべからず。一の誠の字を把りて以て槌子と為すに如くは莫し。
-
易経・大有卦大有の初九は、害に交わる无きなり。大車以て載すとは、中に積みて敗れざるなり。公用て天子に亨せらるとは、小人は害あるなり。其の彭なるに匪ず、咎无しとは、明弁晰らかなるなり。厥の孚交如たりとは、信以て志を発するなり。威如の吉は、易りて備うる无ければなり。大有の上の吉は、天より佑くるなり。
-
易経・中孚卦初九の虞りて吉は、志未だ変ぜざればなり。其の子之に和すとは、中心より願ふなり。可(ある)いは鼓し或いは罷むとは、位当らざればなり。馬匹亡ふとは、類を絶ちて上るなり。孚有りて攣如たりとは、位正当なればなり。翰音天に登るとは、何ぞ長かるべけんや。
-
言志四録・言志後録 第百七十七条 実言は物を動かす実言は、芻蕘の陋と雖も、以て物を動かすに足る。虚言は、能弁の士と雖も、人を感ぜしむるに足らず。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る