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言志四録 / 言志晩録 第二百十四条 老人の一話一言は皆活史

赤子之一啼一咲。皆天籟也。老人之一話一言。皆活史也。

書き下し

赤子の一啼一咲は、皆天籟なり。老人の一話一言は、皆活史なり。

現代語訳

赤ん坊が泣いたり笑ったりする一つ一つは、みな天然の音楽(天籟)である。老人が語る一つ一つの話は、みな生きた歴史である。

解説

「天籟」は『荘子』斉物論に出る語で、人が奏でる楽器の音でも大地を吹く風の音でもない、天そのものの響きを指します。赤子の泣き声や笑い声には作為がなく、天の音楽そのものだと一斎は言います。これと対にして、老人の話は書物に書かれた歴史ではなく、体験に裏打ちされた「生きた歴史」だとします。人生の始まりと終わりに近い二つの存在に、それぞれ尊いものを見いだしているのです。晩録を書いた一斎自身が七十代の老人であったことを思うと、この言葉には自負も込められているのでしょう。経験豊かな先輩の昔話を聞き流さず、そこから時代の空気や判断の筋道を読み取れるかどうかは、聞く側の構え次第です。

この章句が説くこと

天籟経験老い歴史傾聴

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