言志四録 / 言志晩録 第二百六条 生知熟知を一視す
接人衆多者。一視生知熟知。處事鍊熟者。混看難事易事。
新字:接人衆多者。一視生知熟知。処事錬熟者。混看難事易事。
書き下し
人に接すること衆多なる者は、生知・熟知を一視し、事を処すること錬熟なる者は、難事・易事を混看す。
現代語訳
多くの人と接してきた者は、初対面の人もよく知っている人も同じように扱い、物事の処理に熟練した者は、難しい事も易しい事も区別なく見る。
解説
経験を積んだ人の落ち着きを、人と事の二面から描いた条です。多くの人に接してきた人は、初対面の相手と旧知の相手とで態度を大きく変えることがありません。誰に対しても同じ誠意と節度で臨むので、相手を選んで緊張したり、慣れて崩れたりしないのです。同じように、事の処理に熟練した人は、難事だからと身構えず、易事だからと侮りません。どちらも等しく丁寧に処するので、結果として難事も易々とこなし、易事でつまずくこともありません。前の条で説かれた苦労による思慮の深まりが、ここでは平常心として現れています。相手や案件の大小によって態度が揺れていないか。熟練とは何かを考えるうえでの一つの目安になる言葉です。
この章句が説くこと
熟練平常心公平経験人との接し方
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