言志四録 / 言志晩録 第二百三条 此の学は窮尽無し
天道無窮盡。故義理無窮盡。義理無窮盡。故此學無窮盡。堯舜之上善無盡。謂此。
新字:天道無窮尽。故義理無窮尽。義理無窮尽。故此学無窮尽。堯舜之上善無尽。謂此。
書き下し
天道は窮尽無し。故に義理も窮尽無し。義理窮尽無し。故に此の学も窮尽無し。「堯舜の上、善尽くること無し」とは、此れを謂ふ。
現代語訳
天の道には尽きるところがない。だから物事の道理にも尽きるところがない。道理に尽きるところがないから、この学問にも尽きるところがない。「堯・舜(古代の聖天子)の上にも、善には限りがない」というのは、このことを言うのである。
解説
前条の「講学は足らざるを知る」の根拠を示した条です。天の道は限りなく、そこから出る道理も限りなく、その道理を学ぶ学問も限りがない、と一斎は段階を追って述べます。引かれている「堯舜の上、善尽くること無し」は、王陽明の『伝習録』に見える言葉で、理想の聖人とされる堯や舜でさえ善の極みに達したわけではなく、その先にもなお善がある、という意味です。完成した到達点を想定せず、終わりのない道として学問をとらえています。一斎が四十年にわたって言志四録を書き継いだ姿とも重なります。資格の取得や目標達成で学びを終えがちな中、学びそのものに終わりがないことを思い出させる言葉です。
この章句が説くこと
学問義理天道無窮生涯学習
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