言志四録 / 言志晩録 第二百二条 講学は足らざるを知る
人各有分。當知足。但講學則當知不足。
新字:人各有分。当知足。但講学則当知不足。
書き下し
人各分有り、当に足るを知るべし。但だ講学は則ち当に足らざるを知るべし。
現代語訳
人にはそれぞれ分があるので、足ることを知るべきである。ただし、学問を講じ究めることについては、足りないことを知るべきである。
解説
知足と不足を場面によって使い分けよと説いた、簡潔で明快な条です。境遇や財産、地位については、それぞれの分があるのだから、満足することを知るべきです。前の数条で、他人の富を羨むな、外に覬うなと述べたのと同じ趣旨です。しかし学問に関しては逆で、常に足りないと自覚し続けなければなりません。『論語』の「学は及ばざるが如くす」の心構えです。次の条では、天道も義理も学問も窮まりがないと続きます。一斎は八十歳を過ぎても書き続け、学び続けた人でした。待遇や肩書きには満足しつつ、自分の力量には満足しない。この二つを混同しないことが、仕事を続けるうえでの健やかさを保つ手がかりになるかもしれません。
この章句が説くこと
知足不足講学学問向上心
関連する章句
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