言志四録 / 言志晩録 第二百条 事物は七八分を以て極処と為す
太寵。是太辱之霰。奇福。是奇禍之餌。事物大抵以七八分爲極處。
新字:太寵。是太辱之霰。奇福。是奇禍之餌。事物大抵以七八分為極処。
書き下し
太寵は是れ太辱の霰、奇福は是れ奇禍の餌なり。事物は大抵七八分を以て極処と為す。
現代語訳
度を越した寵愛は、ひどい恥辱が降りかかる前触れの霰であり、思いがけない幸運は、思いがけない災いをおびき寄せる餌である。物事はたいてい七、八分のところを頂点とするのがよい。
解説
過分の寵愛や幸運の危うさを、二つの比喩で示した条です。「霰」は『詩経』に「彼の雪を雨らすが如き、先づ集まるは維れ霰」とあるように、大雪の前に降る前触れを指します。大きな寵愛は、やがて大きな辱めが降り積もる兆しだというのです。また思いがけない福は、思いがけない禍を呼び寄せる餌にもなります。そこで一斎は、物事は七、八分で満足し、そこを極みと心得よと言います。先の「寧ろ及ばざるも過ぐること勿れ」と同じ考えで、易の満つれば欠けるの理にも通じます。急な抜擢や大きな成功を得たときこそ、それを当然と思わず、余白を残して構える。そのような節度を考えさせる言葉です。
この章句が説くこと
節度寵辱禍福満つれば欠ける七八分
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