言志四録 / 言志晩録 第百九十九条 礼譲を以て甲冑と為す
甲冑則有不可辱之色。人服禮讓以爲甲冑。誰敢辱之。
新字:甲冑則有不可辱之色。人服礼譲以為甲冑。誰敢辱之。
書き下し
甲冑には則ち辱むべからざるの色有り。人、礼譲を服して以て甲冑と為さば、誰か敢て之を辱めん。
現代語訳
甲冑を身に着けた者には、辱めることのできない威厳がある。人が礼儀と謙譲を身にまとって甲冑とするならば、誰があえてその人を辱めようとするだろうか。
解説
礼譲を鎧兜にたとえた条です。甲冑をまとった武者には、人が軽々しく手出しできない威容があります。一斎は、礼儀正しく謙って人に譲る態度こそが、人にとっての甲冑になると言います。「服す」には着るという意味と身に行うという意味が重なっています。礼譲は一見弱々しく見えますが、礼を尽くし譲る人を辱めれば、辱めた側の品位が問われるので、誰も手が出せません。力で身を守るのではなく、礼によっておのずと守られるという発想です。前の条の、人を侮り見下すなという戒めと表裏をなします。交渉や対立の場で、強い態度で身構えるより、礼を尽くすことがかえって自分を守るという見方を示してくれます。
この章句が説くこと
礼譲威厳謙虚品位身を守る
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