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言志四録 / 言志晩録 第百九十二条 心の安穏なる処は身の極楽

見人之有禍。知我無禍之爲安。見人之有福。知我無福之爲穩。心安穩處。即身極樂處。

新字:見人之有禍。知我無禍之為安。見人之有福。知我無福之為穏。心安穏処。即身極楽処。

書き下し

人の禍有るを見ては、我が禍無きの安たるを知る。人の福有るを見ては、我が福無きの穏たるを知る。心の安穏なる処は、即ち身の極楽の処なり。

現代語訳

他人に災いがあるのを見ては、自分に災いのないことが安らかであると知る。他人に幸いがあるのを見ては、自分に幸いのないことが穏やかであると知る。心が安らかで穏やかなところこそが、その身にとっての極楽である。

解説

他人の禍福を見たときの受け止め方を説いた条です。人の不幸を見れば、何事もない自分の平安のありがたさに気づく。これは分かりやすい理屈です。一斎はさらに、人の幸運を見たときにも、福がない自分はそれだけ波風が立たず穏やかだと知れ、と言います。前の条で述べたように、大きな福はしばしば後の禍の種を宿すからです。禍福いずれに接しても、自分の平穏へと心を戻す。その安穏こそが極楽だと、仏教の語を借りて締めくくります。人の成功話や失敗談があふれる今、比較によって心を揺らすのではなく、自分の足もとの平穏を確かめる材料にする。晩年の一斎の落ち着いた境地が表れた一条です。

この章句が説くこと

安穏禍福足るを知る幸福比較

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