言志四録 / 言志晩録 第百八十八条 愛敬の心は天地生生の心
愛敬之心。即天地生生之心。樹藝草木。飼養禽蟲。亦唯此心之推。
新字:愛敬之心。即天地生生之心。樹芸草木。飼養禽虫。亦唯此心之推。
書き下し
愛敬の心は、即ち天地生生の心なり。草木を樹芸し、禽虫を飼養するも、亦唯だ此の心の推なり。
現代語訳
愛し敬う心は、そのまま天地が万物を生み育てる心である。草木を植えて育てたり、鳥や虫を飼って養ったりするのも、ただこの心を押し広げたものにほかならない。
解説
人を愛し敬う心の根を、天地の働きに求めた条です。『易』繋辞伝に「天地の大徳を生と曰ふ」「生生之を易と謂ふ」とあるように、儒学では絶えず生命を生み育てることを天地の本質と見ます。一斎は、人の愛敬の心はその天地の心が人の内に宿ったものだと言います。だから草花を植え、鳥や虫を飼うといった営みも、同じ心が人から物へ推し及ぼされたものです。前の二条で物我一体や道具への感応を述べた流れの延長にあります。人を育てることも、植物を育てることも、根は一つだという見方は、部下や後進の成長を支える仕事を、天地の働きに連なる営みとしてとらえ直す視点になるかもしれません。
この章句が説くこと
愛敬生生天地育成仁
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