言志四録 / 言志晩録 第百八十五条 兄弟の相と主人の相
天下人皆爲同胞。我當著兄弟相。天下人皆爲賓客。我當著主人相。兄弟相。愛也。主人相。敬也。
新字:天下人皆為同胞。我当著兄弟相。天下人皆為賓客。我当著主人相。兄弟相。愛也。主人相。敬也。
書き下し
天下の人は皆同胞たり。我当に兄弟の相を著くべし。天下の人は皆賓客たり。我当に主人の相を著くべし。兄弟の相は愛なり。主人の相は敬なり。
現代語訳
天下の人は皆、同じ親から生まれた同胞である。だから自分は兄弟としての姿で人に接するべきである。天下の人は皆、客人である。だから自分は主人としての姿で人に接するべきである。兄弟としての姿とは愛であり、主人としての姿とは敬である。
解説
人との交わりを、兄弟と主客という二つの関係で描いた条です。「天下の人は皆同胞」は、張載の『西銘』の「民は吾が同胞」を踏まえています。同胞として接すれば、隔てのない親しみ、すなわち愛が生まれます。一方、すべての人を客として迎える主人の立場に立てば、相手を丁重に遇する敬が生まれます。愛だけではなれ合いに流れ、敬だけでは冷たく隔たってしまう。一斎は二つを同時に身に着けよと言います。後の条でも「愛敬の二字は交際の要道」と繰り返しており、晩録の中心的な主題の一つです。社内の同僚にも、取引先や顧客にも、この二つの顔を併せ持って接することの意味を考えさせる言葉です。
この章句が説くこと
愛敬同胞もてなし人間関係交際
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