言志四録 / 言志晩録 第百七十九条 学は挽回転化の法
凡學。宜認做挽回轉化法。今日好賢之心。即是他日之好色。今日好德之心。即是他日之好貨。
新字:凡学。宜認做挽回転化法。今日好賢之心。即是他日之好色。今日好徳之心。即是他日之好貨。
書き下し
凡そ学は、宜しく認めて挽回転化の法と做すべし。今日賢を好むの心は、即ち是れ他日の色を好むなり。今日徳を好むの心は、即ち是れ他日の貨を好むなり。
現代語訳
およそ学問は、心を引き戻して別の方向に転じる方法だと心得るべきである。今日、賢者を好む心は、とりもなおさず以前に色を好んでいた心(が転じたもの)である。今日、徳を好む心は、とりもなおさず以前に財貨を好んでいた心(が転じたもの)である。
解説
学問を欲を消す方法ではなく、欲の向きを変える方法ととらえた条です。『論語』には「賢を賢として色に易ふ」「吾未だ徳を好むこと色を好むが如き者を見ず」とあり、『孟子』では斉の宣王が「寡人色を好む」「貨を好む」と打ち明けています。一斎は、色や財を好む心のエネルギーそのものを否定せず、それを賢や徳へ振り向けることこそ学の働きだと言います。前条で大欲を去ると述べたのと合わせると、欲を断つことと転じることの二本立てが見えてきます。人の欲や野心を押さえつけるより、その熱量をよい方向へ向ける仕組みを考える。人を育て組織を動かす際にも示唆のある見方です。
この章句が説くこと
学問転化欲好賢好徳
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