言志四録 / 言志晩録 第百七十三条 仁者は己を以て己に克つ
仁者。以己克己。君子。以人治人。
書き下し
仁者は己を以て己に克ち、君子は人を以て人を治む。
現代語訳
仁者は自分の力で自分の私欲に打ち克ち、君子は人の本来備えている道によってその人を治める。
解説
短い対句で、自己修養と人を治めることの原理を示した条です。前半は『論語』顔淵篇の「己に克ちて礼に復るを仁と為す」を受け、私欲に克つのは外からの力ではなく自分自身だと言います。後半は『中庸』の「君子は人を以て人を治め、改むれば止む」を踏まえ、人を治めるには外から型をはめるのではなく、その人がもともと持つ道理に訴え、改まればそれでよしとする、という意味です。どちらも「以て」の対象が自己と他者自身に置かれているのが要点です。人を変えようとして規則や圧力を重ねるより、相手の内にある良さを引き出す方が長続きする。組織を率いる人が、自分を律する方法と人を導く方法を同じ筋で考えるための手がかりになります。
この章句が説くこと
克己仁治人自律人材育成
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