言志四録 / 言志晩録 第百六十一条 心を以て簿書と為す
凡處官事。宐先以心爲簿書而簿書又照之。勿專任簿書以爲心。
新字:凡処官事。宐先以心為簿書而簿書又照之。勿専任簿書以為心。
書き下し
凡そ官事を処するには、宜しく先づ心を以て簿書と為して、簿書又之を照らすべし。専ら簿書に任せて以て心と為すこと勿れ。
現代語訳
およそ公務を処理するには、まず自分の心を帳簿として事を把握し、そのうえで帳簿でそれを照らし合わせて確かめるべきである。帳簿にばかり頼って、それを自分の心の代わりにしてはならない。
解説
帳簿や書類と、担当者の心との関係を説いた一条です。一斎は、まず自分の心に事の全体を収めておき、帳簿はそれを照らし合わせて確かめる道具として使えと言います。逆に帳簿に任せきりにして、そこに書かれていることだけを自分の判断とするのはいけない。書類に頼ると、書かれていない事情や数字の背後にある実態が見えなくなるからです。少し前の条で、泰平の世には簿書が累積して煩雑になると述べたのと通じ合う問題意識です。データやシステムが整うほど、それを見れば分かると思いがちです。数字を確認する前に、自分の頭で状況をつかめているか、と問い直させる一条です。
この章句が説くこと
簿書実態把握主体的判断官務データと直観
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