呻吟語 / 内篇・應務・只だ安詳の二字を消得す
處天下事,只消得安詳二字。雖兵貴神速,也須從此二字做出。然安詳非遲緩之謂也,從容詳審養奮發於凝定之中耳。
新字:処天下事,只消得安詳二字。雖兵貴神速,也須従此二字做出。然安詳非遅緩之謂也,従容詳審養奮発於凝定之中耳。
書き下し
天下の事に處するは、只だ安詳の二字を消得す。兵は神速を貴ぶと雖も、也た須らく此の二字より做し出づべし。然れども安詳は遲緩の謂ひに非ず。從容詳審にして奮發を凝定の中に養ふのみ。
現代語訳
天下の事に処するには、ただ安らかで詳らかという二字で足ります。兵は神速を貴ぶと言いますが、それもこの二字から出てこなければなりません。ただし安詳とは、のろのろすることではありません。ゆったりと詳しく審らかにして、奮い立つ力を落ち着きの中に養うことです。
解説
處事の要を二字に絞り、しかも速さを尊ぶ兵事さえその二字から出ると言います。そのうえで誤解を先回りして封じるのが丁寧なところで、安詳は遅いことではないと断ります。落ち着きの中に奮い立つ力を養う。静けさと勢いを対立させず、静けさを勢いの源として置いた一段になっています。静けさを勢いの源として置いた、この書らしい一段です。
この章句が説くこと
安詳迅速落ち着き誤解源
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