言志四録 / 言志晩録 第百五十五条 心勢利を忘る
心忘勢利。而後權貴可與語。
新字:心忘勢利。而後権貴可与語。
書き下し
心勢利を忘れて、而る後に権貴与に語るべし。
現代語訳
心が権勢や利益への欲を忘れてこそ、はじめて権力者や高貴な人と語り合うことができる。
解説
前条の孟子の句を受け、権貴と向き合う心の条件を一句にまとめた一条です。権力者の前で気圧されたりへつらったりするのは、相手の持つ権勢や利益を、心のどこかで自分も欲しているからです。その欲を忘れてはじめて、対等に、率直に語り合うことができる。地位や得を求める心がある限り、言葉はどこかで曲がってしまいます。一斎自身、幕府の儒官として大名や重臣と接する立場にありました。その経験から出た言葉でしょう。取引先の重役や社内の上層部と話すとき、相手から何かを得たいという思いが自分の発言を歪めていないか。まっすぐ語るための条件を考えさせる一条です。
この章句が説くこと
無欲権勢直言対等心術
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