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言志四録 / 言志晩録 第百五十四条 大人に説くには之を藐んず

說大人則藐之。勿視其巍巍然。勿視。在心。目則熟視亦不妨。

新字:説大人則藐之。勿視其巍巍然。勿視。在心。目則熟視亦不妨。

書き下し

「大人に説くときは則ち之を藐んぜよ。其の巍巍然たるを視ること勿れ」と。視ること勿れとは、心に在り。目は則ち熟視するも亦妨げず。

現代語訳

「身分の高い人に意見を説くときは、相手を軽く見るくらいの気持ちで臨め。その堂々とした威勢に目を奪われてはならない」(『孟子』)とある。この「見るな」とは、心のことである。目のほうはじっくりと相手を見つめてもかまわない。

解説

『孟子』尽心下篇の有名な句に、一斎が注釈を加えた一条です。孟子は、権勢ある人に説くときは相手を小さく見よ、その威容に気圧されるなと言いました。一斎は、ここで言う「視るな」とは心の問題であって、目で相手をよく見ることまで禁じたのではないと解します。むしろ相手の様子をしっかり観察しながら、心はその威光に呑まれない。そうしてこそ、言うべきことを言えるのです。孟子の言葉を、相手を侮れという意味ではなく、萎縮するなという意味に引き戻した読み方と言えます。立場の上の人に提案や報告をするとき、相手をよく見つつも肩書きに気圧されずにいられるかを考えさせる一条です。

この章句が説くこと

胆力直言孟子平常心威勢に呑まれない

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