言志四録 / 言志晩録 第百五十三条 先づ事の軽重を見る
應酬事物。當先見其事之輕重。而後處之。勿以假心。勿以習心。勿厭多端以苟且。勿過穿鑿以繳住。
新字:応酬事物。当先見其事之軽重。而後処之。勿以仮心。勿以習心。勿厭多端以苟且。勿過穿鑿以繳住。
書き下し
事物に応酬するには、当に先づ其の事の軽重を見て、而る後に之を処すべし。仮心を以てすること勿れ。習心を以てすること勿れ。多端を厭ひて以て苟且すること勿れ。過ぎて穿鑿して以て繳住すること勿れ。
現代語訳
物事に対応するには、まずその事の重要度を見きわめ、そのうえで処理すべきである。うわべだけの心で対処してはならない。惰性の心で対処してはならない。用件が多いのを嫌って、その場しのぎに済ませてはならない。度を越して細かく詮索して、かえって事を行き詰まらせてはならない。
解説
仕事の処理の心得を、一つの原則と四つの禁止にまとめた一条です。原則は、まず事の軽重を見てから手をつけること。禁止は、仮心すなわち形だけの取り繕い、習心すなわち前例どおりの惰性、多忙を嫌っての間に合わせ、そして度を越した詮索による停滞です。前の二つは心のあり方の問題、後の二つは手間のかけ方の偏りで、雑すぎても細かすぎてもいけないと言っています。軽重を見定めることは、どこに力を注ぎどこを簡潔に済ませるかを決めることでもあります。仕事が立て込んだとき、自分がどの落とし穴に陥りがちかを知るための点検表として使える一条です。
この章句が説くこと
軽重優先順位惰性仕事の処し方慎重
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論語・述而篇子の慎む所は、斉・戦・疾なり。
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孟子・告子章句上孟子曰く、「人の身に於けるや、愛する所を兼ぬ。愛する所を兼ぬれば、則ち養う所を兼ぬ。無尺寸の膚も愛せざること無ければ、則ち尺寸の膚も養わざること無きなり。其の善不善を考うる所以の者は、豈に他有らんや。己に於て之を取るのみ。體に貴賤有り、小大有り。小を以て大を害すること無く、賤を以て貴を害すること無かれ。其の小を養う者は小人為り、其の大を養う者は大人為り。今場師有り。其の梧檟(ゴ・カ)を舎てて、其の樲棘(ジ・キョク)を養わば、則ち賤場師と為さん。其の一指を養いて、而も其の肩背を失いて知らざれば、則ち狼疾人と為さん。飲食の人は、則ち人之を賤む。其の小を養いて以て大を失うが為なり。飲食の人も失うこと有る無ければ、則ち口腹豈に適だ尺寸の膚の為のみならんや。」
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