言志四録 / 言志晩録 第百四十七条 人主飲を好むは害有り
人主好飮太有害。除式禮外。宜自禁止。百弊皆自此興。
新字:人主好飲太有害。除式礼外。宜自禁止。百弊皆自此興。
書き下し
人主飲を好むは太だ害有り。式礼を除くの外は、宜しく自ら禁止すべし。百弊皆此より興る。
現代語訳
君主が酒を好むのは、はなはだ害がある。儀式や礼の場を除いては、自ら飲酒を禁じるべきである。あらゆる弊害はみなここから起こるからである。
解説
君主の飲酒を強く戒めた一条です。儀礼の場の酒は認めつつ、それ以外は自ら禁じよと言います。百弊皆ここより興るというのは大げさに聞こえますが、酒に溺れた君主のもとでは判断が鈍り、へつらう者が近づき、奥向きの乱れも生じやすい。前後の条で君主の交友や奥向きを論じてきた一斎にとって、酒はそれらの弊害をつなぐ入り口に見えたのでしょう。一斎自身は長寿を保ち、節度ある生活を重んじた人でした。権限を持つ人の小さな緩みは、本人の問題にとどまらず、周囲の人の動きまで変えてしまいます。上に立つ人ほど、自分の嗜好や習慣が組織にどう影響するかを自覚しておく必要があることを示しています。
この章句が説くこと
節制飲酒君主の心得自己管理弊害
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