酔古堂剣掃 / 集素・大賓と雖も牲を宰らず
親不抬飯,雖大賓不宰牲;匪直戒奢,侈而可久,亦將免煩勞以安身。
新字:親不抬飯,雖大賓不宰牲;匪直戒奢,侈而可久,亦将免煩労以安身。
書き下し
親にも飯を抬げず、大賓と雖も牲を宰らず。 直だに奢侈を戒めて久しかるべきのみに匪ず、亦た將に煩勞を免れて以て身を安んぜんとす。
現代語訳
親しい人が来ても特別に膳を仕立てず、大切な客であっても家畜をつぶしてもてなしたりはしません。これは贅沢を戒めて暮らしを長く保つためだけではなく、手間や気苦労を省いて身を安らかにするためでもあります。
解説
もてなしを簡素にすることの効用を説いた一則です。抬飯は膳を運んで改まった食事を出すこと、宰牲は家畜をつぶしてごちそうを用意することです。匪直は、ただそれだけではないという意味です。簡素なもてなしには二つの利点があると言います。一つは贅沢を慎むことで家計が長続きすること、もう一つは準備の煩わしさを省いて心身が安らぐことです。底本は奢と侈の間で句を切っていますが、奢侈を一語として読むほうが文意が通ります。人付き合いに見栄を張れば、財布だけでなく心も疲れます。無理のない形で人を迎えることが、かえって長い付き合いを支えるのでしょう。
この章句が説くこと
節制清貧交友安身素朴
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