言志四録 / 言志晩録 第百二十六条 明通公溥
居相位者。最宜明通公溥。不明通則偏狹。不公溥則執拗。
新字:居相位者。最宜明通公溥。不明通則偏狭。不公溥則執拗。
書き下し
相位に居る者は、最も宜しく明通公溥なるべし。明通ならざれば則ち偏狭、公溥ならざれば則ち執拗なり。
現代語訳
宰相の地位にある者は、何よりも明らかで行き届いた見識と、公平で広くあまねく及ぶ心とを備えるべきである。見識が明らかに通じていなければ偏って狭くなり、公平で広くなければ意地を張って頑なになる。
解説
宰相たる者の資質を「明通」と「公溥」の四字にまとめた一条です。明通は物事の筋道が明らかに見え、隅々まで通じていること。公溥は私心がなく、その心が広く行き渡っていることです。一斎はそれぞれが欠けたときの姿を「偏狭」と「執拗」と言い当てます。見えている範囲が狭ければ判断が偏り、私心が混じれば自説や面子に固執する。前条で才より量を取ると述べたのに続き、上に立つ者の心のあり方を問う条が並んでいます。組織の上位にいるほど、情報の偏りと自分へのこだわりが判断を曇らせやすいものです。自分の判断が偏狭か執拗に傾いていないかを点検する物差しとして読めます。
この章句が説くこと
為政公平見識私心宰相の心得
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