言志四録 / 言志晩録 第百五条 器械を頼む勿れ
勿賴器械。當賴人心。勿問衆寡。當問師律。
新字:勿頼器械。当頼人心。勿問衆寡。当問師律。
書き下し
器械を頼む勿れ。当に人心を頼むべし。衆寡を問ふ勿れ。当に師律を問ふべし。
現代語訳
兵器に頼ってはならない。人の心にこそ頼るべきである。兵の多い少ないを問うてはならない。軍の規律をこそ問うべきである。
解説
戦の勝敗を決めるのは兵器や兵数ではなく、人心と規律だと言い切った条です。「師律」は『易経』師卦の「師出づるに律を以てす」に基づき、軍を動かすには規律が第一だという意味です。西洋の大砲や軍艦が知られ始め、海防論議が盛んになった時代にあって、一斎は物量や装備への過信を戒めます。器械を否定しているのではなく、それを使う人の心がまとまり、軍の規律が保たれていなければ、器械も数も役に立たないということです。続く条で一斎は、海防には民心の結束が第一だと繰り返します。新しい道具や人員の増強で問題を解こうとする前に、人の心と組織の規律が整っているかを問う視点を与えます。
この章句が説くこと
人心規律兵法統率海防
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