言志四録 / 言志晩録 第九十七条 心胆を錬る
兵家說鍊心膽。與震艮工夫髣髴。
新字:兵家説錬心胆。与震艮工夫髣髴。
書き下し
兵家の心胆を錬ることを説くは、震艮の工夫と髣髴たり。
現代語訳
兵法家が心と胆力を鍛えることを説くのは、『易経』の震・艮の卦に示される修養の工夫とよく似ている。
解説
兵法家のいう心胆の鍛錬は、易の震艮の工夫とそっくりだという条です。先の条で一斎は、艮卦の「其の背に艮まる」を敬によって誠を保つ工夫、震卦の「匕鬯を喪はず」を誠によって敬を行う工夫と説き、両者は一つに帰すと述べました。雷鳴に驚いても祭器を落とさず、外物に動じず心を止める。これはまさに戦場で動揺しない胆力と同じだというのです。武芸の観戦、臍下丹田の養生、そして兵法と、晩録のこのあたりには身体と心の鍛錬をつなぐ条が続きます。儒者の修養と武人の胆力を別物としない見方です。プレッシャーのかかる場面での落ち着きは、どんな日々の工夫から生まれるのかを考えさせます。
この章句が説くこと
胆力震艮兵法不動心修養
関連する章句
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