言志四録 / 言志晩録 第七十九条 臍下に実を畜ふ
人身臍爲受氣之蒂。則震氣自此而發。宜畜實於臍下。函虛於臍上。呼吸與臍上相消息。筋力自臍下而運動。思慮云爲。皆根柢於此。凡百技能亦多如此。
新字:人身臍為受気之蒂。則震気自此而発。宜畜実於臍下。函虚於臍上。呼吸与臍上相消息。筋力自臍下而運動。思慮云為。皆根柢於此。凡百技能亦多如此。
書き下し
人身は臍を受気の蔕と為す。則ち震気此より発す。宜しく実を臍下に畜へ、虚を臍上に函るべし。呼吸は臍上と相消息し、筋力は臍下よりして運動す。思慮云為、皆此に根柢す。凡百の技能も亦多く此くの如し。
現代語訳
人の身体では、へそが気を受ける「へた」(根もと)である。だから奮い立つ気(震気)もここから発する。へその下には充実を蓄え、へその上には虚(ゆとり)を収めておくのがよい。呼吸はへその上と連動して出入りし、筋力はへその下から起こって動く。考えることも、言うことや行うことも、みなここに根ざしている。あらゆる技能もまた、多くはこのようである。
解説
身体の中心を臍に置き、臍下に力を満たし臍上をゆるめておけという、いわゆる臍下丹田の養生を説いた条です。果物のへたが実に養分を送るように、臍が気を受ける根もとだと一斎は見ます。呼吸は上で柔らかく出入りし、筋力は下から起こる。上虚下実の姿勢が整えば、考えることも言動も落ち着き、武芸や諸芸の技もこれに根ざすと言います。晩録の一斎は、心の修養を身体の構えと切り離さずに語ることが多く、続く条でも易の震・艮の卦を引いて同じ主題を掘り下げます。緊張する場面で肩に力が入り、呼吸が浅くなっていないか。判断の質を支える身体の土台に目を向ける手がかりになる一条です。
この章句が説くこと
臍下丹田養気上虚下実呼吸身心一如
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