言志四録 / 言志後録 第五十七条 上虚下実、地天泰
人一身以上下分陰陽。上體爲陽。下體爲陰。降上陽於下體。升下陰於上體。則上虛下實。函成地天泰。又以前後分陰陽。前面爲陽。後背爲陰。收前陽於後陰。移後陰於前面。則前虛後實。亦函成地天泰。
新字:人一身以上下分陰陽。上体為陽。下体為陰。降上陽於下体。升下陰於上体。則上虚下実。函成地天泰。又以前後分陰陽。前面為陽。後背為陰。収前陽於後陰。移後陰於前面。則前虚後実。亦函成地天泰。
書き下し
人の一身は上下を以て陰陽を分つ。上体を陽と為し、下体を陰と為す。上陽を下体に降し、下陰を上体に升せば、則ち上虚下実にして、函して地天泰を成す。又前後を以て陰陽を分つ。前面を陽と為し、後背を陰と為す。前陽を後陰に収め、後陰を前面に移せば、則ち前虚後実にして、亦函して地天泰を成す。
現代語訳
人の体は上下で陰陽に分けられる。上半身が陽、下半身が陰である。上半身の陽を下半身に降ろし、下半身の陰を上半身に昇らせれば、上が虚ろで下が充実し、あわせて地天泰(易の泰卦。地を表す坤が上、天を表す乾が下にあり、天地の気が交わる安泰の卦)の形になる。また前後でも陰陽に分けられる。体の前面が陽、背中が陰である。前面の陽を背中の陰に収め、背中の陰を前面に移せば、前が虚ろで後ろが充実し、これもまた地天泰の形になる。
解説
易の理を身体の修養に応用した一条で、次の条と一続きになっています。易の泰卦は、地を表す坤が上に、天を表す乾が下にある形で、上に昇る天の気と下に降る地の気が交わるため、安泰を意味します。一斎は人の体を上下・前後で陰陽に分け、上半身の気を下に降ろして「上虚下実」とし、前面の気を背に収めて「前虚後実」とすれば、体そのものが泰卦の形になると言います。頭に血が上らず下腹が充実した状態を良しとする、東洋の身体観と重なる考え方です。心を静める工夫を理屈だけでなく身体の状態として捉えていた点が興味深く、緊張する場面で姿勢や呼吸から整えることの意味を考えさせます。
この章句が説くこと
身体観易陰陽泰修養
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