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言志四録 / 言志晩録 第七十二条 和悦にして諍む

聖人之心。見於辭氣容貌。於其地與人各異。未知孔子爲委吏乘田時。於長官果何如。鄕黨不載。學者宜推勘。或曰。和悅而諍。

新字:聖人之心。見於辞気容貌。於其地与人各異。未知孔子為委吏乗田時。於長官果何如。郷党不載。学者宜推勘。或曰。和悦而諍。

書き下し

聖人の心は、辞気容貌に見はる。其の地と人とに於て各々異なり。未だ知らず、孔子委吏・乗田たりし時、長官に於て果して何如なりしかを。郷党載せず。学者宜しく推勘すべし。或ひと曰く「和悦にして諍む」と。

現代語訳

聖人の心は、言葉つきや顔かたちに表れる。それは場所と相手によってそれぞれ異なる。孔子が倉庫番(委吏)や牧場の番人(乗田)をしていたとき、上役に対して実際どのようであったかはわからない。『論語』郷党篇には記されていない。学ぶ者はよく推し量ってみるべきである。ある人は「和やかに喜ばしげでありながら、諫めた」と言った。

解説

『論語』郷党篇は、孔子が郷里では恭しく、朝廷では明快に語り、上大夫には慎み深くと、場と相手に応じて態度を変えた様子を細やかに記しています。一斎はそこに、若い孔子が委吏や乗田という低い役職にあったとき、上役にどう接したかは書かれていないと気づき、学ぶ者は推し量ってみよと言います。そして「和悦にして諍む」、和やかに接しながらも言うべきことは諫めた、という答えを添えています。『孟子』万章下には、孔子が委吏のときは帳簿を正しくし、乗田のときは家畜をよく育てたとあります。下の立場にあって、上司との関係を損なわずに正すべきは正す。幕府に仕えた一斎自身の課題でもあったでしょう。働く人の多くが直面する問いです。

この章句が説くこと

辞気容貌諫言上司との関係和立場

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