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言志四録 / 言志晩録 第六十一条 燧の火を取り剣の室に在る

精義入神。燧取火也。利用安身。劒在室也。

書き下し

精義神に入るは、燧の火を取るなり。用を利し身を安んずるは、剣の室に在るなり。

現代語訳

義理を精しく究めて神妙の域に入るのは、火打ち道具で火を取り出すようなものである。その働きを役立て身を安んじるのは、剣が鞘に収まっているようなものである。

解説

『易経』繋辞下伝の「精義神に入るは、以て用を致すなり。用を利し身を安んずるは、以て徳を崇くするなり」を二つの比喩で解いた条です。義理を精しく究めて神妙の域に達するのは、燧(火きり)を擦り続けてついに火を得るようなもので、集中を重ねた末に内から力が生まれる。一方、学んだことを用い身を安らかにするのは、剣が鞘に収まっているように、鋭い力を内に蔵しながら静かに構えている状態です。言志録の「精義入神は聡明の竪なり」の条とも響き合います。深く学んで力を得ることと、その力をむやみに振るわず備えておくこと。専門性を磨く人にとって、力の得方と持ち方の両方を示す比喩として味わえます。

この章句が説くこと

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