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言志四録 / 言志晩録 第四十九条 著書は自ら怡悦するを要す

著書。只要自怡悅。不要初有示人之念。

新字:著書。只要自怡悦。不要初有示人之念。

書き下し

著書は、只だ自ら怡悦するを要す。初めより人に示すの念有るを要せず。

現代語訳

書物を著すのは、ただ自分自身が楽しみ喜ぶためであればよい。はじめから人に見せようという気持ちを持つ必要はない。

解説

書くことの動機を問う条です。一斎は、著書はまず自分が楽しむためのものであり、人に見せようという思いから始めてはならないと言います。言志録にも「人に示すの念あるを要せず」という条があり、同じ考えが一斎の中で晩年まで続いていたことがわかります。実際、言志四録そのものが、四十二歳から八十歳過ぎまで、折々に心に浮かんだことを書きためたもので、はじめから刊行を目的としたものではありませんでした。人に見せることを先に考えると、言葉は飾られ、思考は評価に引きずられます。自分が納得できるかを基準に書いたものの方が、結果として人の心にも届くのかもしれません。発信が日常になった今、書く動機を問い直す一言です。

この章句が説くこと

著述怡悦動機評価自得

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