言志四録 / 言志晩録 第二十条 万物一体を真に知る
程子言萬物一體。試思天地間。飛潛動植。有知無知。皆自陰陽陶冶中出來。我其一也。讀易窮理。深造而自得之。眞知萬物之爲一體。程子前絕無此發明。
新字:程子言万物一体。試思天地間。飛潜動植。有知無知。皆自陰陽陶冶中出来。我其一也。読易窮理。深造而自得之。真知万物之為一体。程子前絶無此発明。
書き下し
程子、万物一体を言ふ。試みに思へ、天地の間、飛潜動植、有知無知、皆陰陽陶冶の中より出で来る。我も其の一なり。易を読み理を窮め、深く造りて之を自得すれば、真に万物の一体たるを知る。程子の前には絶えて此の発明無し。
現代語訳
程子(程明道)は万物一体を説いた。試しに考えてみよ。天地の間の、空を飛ぶもの、水に潜むもの、動物や植物、知覚のあるものもないものも、みな陰陽の気が練り上げる中から生まれ出てきたのである。自分もその一つである。易を読み理を窮め、深く道に至って自ら会得すれば、本当に万物が一体であることがわかる。程子より前には、このような明らかな説はまったくなかった。
解説
程明道が説いた「万物一体の仁」を、自ら体得せよと促す条です。鳥も魚も獣も草木も、知覚のあるものもないものも、すべて陰陽の気がこねて形作る中から生まれた。自分もその一つにすぎない、と一斎は言います。陶冶は陶器を焼き金属を鋳ることで、天地が万物を作り出す働きの比喩です。そして易を読み理を窮めて深く自得すれば、万物一体が観念ではなく実感として分かる、と。程子以前にこの発明はなかったと、宋学の独創を高く評価しています。自分を世界の一部として感じ取る視点は、他者の痛みを自分のことと感じる仁の根拠です。組織や社会との関わり方を考える土台になる考え方です。
この章句が説くこと
万物一体仁陰陽自得易
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