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言志四録 / 言志晩録 第十二条 一知は嵐霧の指南

人心之靈。莫不有知。只此一知。即是靈光。可謂嵐霧指南。

新字:人心之霊。莫不有知。只此一知。即是霊光。可謂嵐霧指南。

書き下し

人心の霊は、知有らざる莫し。只だ此の一知、即ち是れ霊光なり。嵐霧の指南と謂ふ可し。

現代語訳

人の心の霊妙な働きには、知がないということはない。ただこの一つの知こそが、霊妙な光である。立ちこめる山の霧の中で道を示す羅針盤というべきものである。

解説

人の心には必ず知る働きがあり、その一点の知こそが霊光であって、深い霧の中の指南車(方角を示す器具)のようなものだ、と説く条です。この「知」は、王陽明の良知、すなわち誰もが生まれつき持つ善悪を知る心に重なります。嵐霧は山にかかる濃い霧のことで、迷いや混乱の比喩です。どれほど状況が見通せなくても、自分の中の良知という羅針盤は失われていない。言志晩録の「一燈を提げて暗夜を行く」の条とも響き合う考えです。先行きが不透明で情報も錯綜するとき、外の答えを探し回る前に、自分の良心がどちらを指しているかを確かめる。その一手間が判断の軸になります。

この章句が説くこと

良知霊光判断迷い指針

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