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言志四録 / 言志後録 第二百四十五条 鶏鳴に起き黙坐す

毎日鷄鳴而起。澄心默坐一晌。自察夜氣存否如何。然後出蓐盥嗽讀經書。日出視事。毎夜昏刻至人定。了內外事。有間則讀古人語錄。人定後亦澄心默坐一晌。自省日閒所行當否如何。然後就寐。余近年欲守此以爲常度。然此事似易而難。不能常常如是。

新字:毎日鶏鳴而起。澄心黙坐一晌。自察夜気存否如何。然後出蓐盥嗽読経書。日出視事。毎夜昏刻至人定。了内外事。有間則読古人語録。人定後亦澄心黙坐一晌。自省日閒所行当否如何。然後就寐。余近年欲守此以為常度。然此事似易而難。不能常常如是。

書き下し

毎日鶏鳴にして起き、心を澄まして黙坐すること一晌、自ら夜気の存否如何を察す。然る後に蓐を出でて盥嗽し、経書を読む。日出でて事を視る。毎夜昏刻より人定に至るまで、内外の事を了し、間有れば則ち古人の語録を読む。人定の後も亦心を澄まして黙坐すること一晌、自ら日間行ふ所の当否如何を省みる。然る後に寝に就く。余、近年此を守りて以て常度と為さんと欲す。然れども此の事、易きに似て難く、常常是くの如くなること能はず。

現代語訳

毎日、鶏が鳴くころに起き、心を澄ませてしばらく黙って座り、夜の間に養われた清らかな気(夜気)が保たれているかどうかを自ら省察する。その後に寝床を出て手を洗い口をすすぎ、経書を読む。日が出たら仕事に取りかかる。毎晩、日暮れから人が寝静まる時刻までに家の内外の用事を片づけ、暇があれば古人の語録を読む。人が寝静まった後も、また心を澄ませてしばらく黙って座り、昼間に行ったことが適切であったかどうかを自ら反省する。その後に床につく。私は近年、これを守って日々の決まりにしようと思っている。しかしこのことはたやすいようで難しく、いつもこのようにできるわけではない。

解説

一斎自身の一日の過ごし方を記した条です。夜明けに起きて静坐し、孟子のいう「夜気」、つまり一晩の休息で回復した清明な心が保たれているかを確かめる。経書を読んでから仕事に向かい、夜は用事を終えて語録を読み、寝る前にまた静坐して一日の行いを省みる。朝の点検と夜の反省で一日を挟む構成は、朱子学の静坐・省察の工夫を生活に落とし込んだものです。そのうえで「易きに似て難し」と正直に書き添えている点に、この条の味わいがあります。理想の習慣を掲げつつ、守れない自分も記録する。日々のルーティンを設計するときの、無理のない参考になります。

この章句が説くこと

静坐省察夜気習慣読書修養

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