言志四録 / 言志後録 第二百二十九条 案を立て両路を開く
器物必有正副。而後無缺事。凡將區處一事。亦當立案開兩路。如正副然。
新字:器物必有正副。而後無欠事。凡将区処一事。亦当立案開両路。如正副然。
書き下し
器物は必ず正副有りて、而る後に欠事無し。凡そ将に一事を区処せんとするにも、亦当に案を立て両路を開くこと、正副の如く然るべし。
現代語訳
道具類は必ず正と副(予備)がそろっていてこそ、事欠くことがない。およそ一つの事を処理しようとするときも、案を立てて二つの道を開いておくべきであり、それは道具の正副のようにすべきである。
解説
道具に予備を備えておくように、物事を処理するときにも本案と代案の二つの道を用意しておけ、という実務的な条です。一つの案しかなければ、それが行き詰まったときに打つ手がなくなります。あらかじめ別の道を開いておけば、事態が変わっても落ち着いて対応できます。儒者の言葉としては珍しいほど具体的な助言ですが、藩政や学問所の運営に携わった一斎の実務感覚がうかがえます。今日でいえば、計画にプランBを用意する、重要な仕組みには冗長性を持たせるということです。一つの見通しにすべてを賭けていないか。計画を立てるときに見直すきっかけになる条です。
この章句が説くこと
計画備え代案実務危機管理
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