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家道訓 / 巻之六・用財下

一貧家に男子多くば、かねて早く產業を立つる計をなすべし。貧家に女子生れば、早く心づかひして、嫁する時の裝具をとゝのふるはかりごとを爲すべし。女子生れし時、杉を萬根うゑて、其の長ずる時、ひさぎて嫁する助とせしためしも有り。桐を多くうゑて、女子の裝を助くる者、今もあり。後の事をかねて早く計りて、俄につまづかざる謀をなすべし。家まどしくてかねて用意なければ、女子の嫁する時にのぞんで、俄に其のつひえの財を求め得ることかたし。

新字:一貧家に男子多くば、かねて早く産業を立つる計をなすべし。貧家に女子生れば、早く心づかひして、嫁する時の装具をとゝのふるはかりごとを為すべし。女子生れし時、杉を万根うゑて、其の長ずる時、ひさぎて嫁する助とせしためしも有り。桐を多くうゑて、女子の装を助くる者、今もあり。後の事をかねて早く計りて、俄につまづかざる謀をなすべし。家まどしくてかねて用意なければ、女子の嫁する時にのぞんで、俄に其のつひえの財を求め得ることかたし。

書き下し

一貧家に男子多くば、かねて早く産業を立つる計をなすべし。貧家に女子生れば、早く心づかひして、嫁する時の装具をととのふるはかりごとを為すべし。女子生れし時、杉を万根うゑて、其の長ずる時、ひさぎて嫁する助とせしためしも有り。桐を多くうゑて、女子の装を助くる者、今もあり。後の事をかねて早く計りて、俄につまづかざる謀をなすべし。家まどしくてかねて用意なければ、女子の嫁する時にのぞんで、俄に其のつひえの財を求め得ることかたし。

現代語訳

貧しい家に男の子が多ければ、前もって早く生計を立てる計画をしなさい。貧しい家に女の子が生まれたら、早く心配りをして、嫁ぐ時の支度を整える計画をしなさい。女の子が生まれた時に杉を一万本植えて、その子が成長した時に売って嫁入りの助けにした例もあります。桐を多く植えて、娘の嫁入り支度を助ける者は今もいます。後のことを前もって早く計画して、急につまずかないような謀をしなさい。家が貧しくて前もって用意がなければ、娘が嫁ぐ時になって、急にその費用を求め得ることは難しいのです。

解説

子どもの将来に必要な費用を、生まれた時から計画的に準備せよという条です。女の子が生まれたら桐を植え、嫁入りの時に切って箪笥にしたり売ったりする風習は、日本各地に伝わっています。息子には生業を立てる道を、娘には嫁入りの支度をと、江戸時代の家の事情に即した書き方ですが、要は長い時間をかけて少しずつ備えることの大切さです。今でいえば教育資金の積み立てや学資保険にあたり、早くから準備すれば無理なく大きな費用に備えられるという知恵です。

この章句が説くこと

子育て備え計画家貯蓄

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