言志四録 / 言志後録 第二百二十八条 財は天下公共の物
財者。天下公共之物。其可得自私乎。尤當敬重之。勿濫費勿嗇用。愛重之可也。愛惜之不可也。
新字:財者。天下公共之物。其可得自私乎。尤当敬重之。勿濫費勿嗇用。愛重之可也。愛惜之不可也。
書き下し
財は天下公共の物なり。其れ自ら私するを得可けんや。尤も当に之を敬重すべし。濫費すること勿れ、嗇用すること勿れ。之を愛重するは可なり。之を愛惜するは不可なり。
現代語訳
財は天下の公共の物である。どうして自分一人のものにしてよいだろうか。とりわけ敬い重んじるべきである。むやみに浪費してはならず、けちけちと使い惜しんでもならない。財を大切に重んじるのはよいが、財を惜しんで手放さないのはよくない。
解説
財を天下の公共物と見る、一斎の財政観がよく表れた条です。財は自分のものに見えても、本来は世の中を巡っているものであり、私物化してはならないと言います。そのうえで、浪費も吝嗇もともに退け、「愛重」はよいが「愛惜」はよくないと区別します。愛重とは財の価値を認めて大切に扱うこと、愛惜とは惜しんで手放さず、使うべきときにも使わないことです。前条で財を才にたとえたように、財も生かして使ってこそ意味があります。会社の予算も個人の財布も、預かりものという感覚を持つと、無駄遣いも出し惜しみも減るでしょう。お金を大切にすることと使わないことの違いを考えさせる条です。
この章句が説くこと
理財公共倹約浪費吝嗇
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