言志四録 / 言志後録 第二百二十条 名は棄つ可からず
名雖不可求。亦不可棄。棄名斯棄實矣。故不可交非類以壞名。不可犯非分以損名。不可近權豪以貶名。不可黷貨財以汚名。
新字:名雖不可求。亦不可棄。棄名斯棄実矣。故不可交非類以壊名。不可犯非分以損名。不可近権豪以貶名。不可黷貨財以汚名。
書き下し
名は求む可からずと雖も、亦棄つ可からず。名を棄つれば斯に実を棄つ。故に非類に交りて以て名を壊る可からず。非分を犯して以て名を損ず可からず。権豪に近づきて以て名を貶す可からず。貨財を黷して以て名を汚す可からず。
現代語訳
名声は求めてはならないが、また捨ててもならない。名を捨てれば、それはそのまま実質を捨てることになる。だから、よくない仲間と交わって名を壊してはならない。分を越えたことをして名を損なってはならない。権力者や富豪に近づいて名をおとしめてはならない。金銭や財貨をむさぼって名を汚してはならない。
解説
名声を求めることは戒められますが、一斎は名を捨ててもよいとは言いません。名は実の表れであり、名を軽んじて振る舞えば、やがて実質も失われるからです。そのうえで、名を損なう四つの行いを挙げます。よくない者と交わること、分をわきまえないこと、権力者や金持ちにすり寄ること、財貨をむさぼること。いずれも一時の利益や付き合いのためにしてしまいがちなことです。ここでの名は評判を飾ることではなく、信用と言い換えられるでしょう。信用は築くのに長い時間がかかり、失うのは一瞬です。個人にとっても組織にとっても、何をしないかが信用を守るという見方を示す条です。
この章句が説くこと
名誉信用節度交友清廉
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