言志四録 / 言志後録 第百九十六条 已むを得ざるに動く
事動於不得已。動亦无悔。在革之夬曰。巳日乃革之是也。若其容易紛更。取快一時。雖外面如美。後必噬臍。爲政者所宜戒。
新字:事動於不得已。動亦无悔。在革之夬曰。巳日乃革之是也。若其容易紛更。取快一時。雖外面如美。後必噬臍。為政者所宜戒。
書き下し
事已むを得ざるに動けば、動くも亦悔い無し。革の夬に在りて曰く、「巳日にして乃ち革む」とは是れなり。若し其れ容易に紛更して快を一時に取らば、外面美なるが如しと雖も、後必ず臍を噬まん。政を為す者の宜しく戒むべき所なり。
現代語訳
物事がやむを得ない事情から動くのであれば、動いても後悔はない。易の革の卦(その第二爻、変じて夬となるもの)に「巳の日になってはじめて改める」とあるのがこれである。もし軽々しくあれこれと改めて、一時の快さを取るならば、外見は立派に見えても、後で必ず悔やむことになる(臍を噛む)。政治を行う者の戒めとすべきところである。
解説
改革は、やむを得ない時に至ってはじめて行えという一条です。易の革卦は変革を表す卦で、その六二の爻辞に「巳日にして乃ち之を革む」とあります。機が熟し、人々が変革の必要を納得する時を待ってから改めれば、動いても悔いはないという意味です。一斎は反対に、たやすく制度をいじり、一時の爽快さのために改めるのは、見かけはよくても必ず後悔を招くと戒めます。前に見た「事を処するは平平穏穏」と同じく、慎重な改革観です。新しい役職に就いたとき、成果を急いで前任者のやり方をすぐに変えたくなるものですが、その変更が本当にやむを得ないものか、一度問うてみる価値はあるでしょう。
この章句が説くこと
改革易時機為政慎重
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