言志四録 / 言志後録 第百八十八条 寛にして縦ならず
寬而不縱。明而不察。簡而不覊。果而不暴。能此四者。可以從政矣。
新字:寛而不縦。明而不察。簡而不覊。果而不暴。能此四者。可以従政矣。
書き下し
寛にして縦ならず、明にして察ならず、簡にして羈ならず、果にして暴ならず。此の四者を能くせば、以て政に従ふべし。
現代語訳
寛大であっても放任にはならず、聡明であっても細かく詮索しすぎず、簡明であってもしまりがなくならず、果断であっても乱暴にはならない。この四つができれば、政治に携わることができる。
解説
為政者に必要な四つの資質を、それぞれの行き過ぎと対にして示した一条です。寛大さは放任に、聡明さは細かな詮索に、簡略さはしまりのなさに、果断さは乱暴に、それぞれ転じやすい。徳目はそれだけでは十分でなく、その裏側にある過ちに落ちないところで止まってこそ本物だというのです。『書経』皐陶謨の「九徳」が「寛にして栗、柔にして立」のように二つの性質を組み合わせて徳を示すのと同じ発想で、中庸の考えにも通じます。自分の長所と思っているものが、周囲からは欠点に見えていないか、リーダーが自己点検するための物差しとして使える一条です。
この章句が説くこと
為政中庸寛容決断リーダーの資質
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