言志四録 / 言志後録 第百八十三条 罪を処するにも智仁勇
處一罪科。亦有智仁勇。公以亡愛憎。識以盡情僞。斷以决輕重。識。知也。公。仁也。斷。勇也。
新字:処一罪科。亦有智仁勇。公以亡愛憎。識以尽情偽。断以決軽重。識。知也。公。仁也。断。勇也。
書き下し
一罪科を処するにも、亦智仁勇有り。公にして以て愛憎を亡くし、識りて以て情偽を尽くし、断じて以て軽重を決す。識は知なり、公は仁なり、断は勇なり。
現代語訳
一つの罪を裁くにも、やはり智・仁・勇がある。公平であることによって好き嫌いの感情をなくし、見識によって真実と偽りを究め尽くし、決断によって刑の軽重を決める。見識は智であり、公平は仁であり、決断は勇である。
解説
『中庸』で天下の達徳とされる智・仁・勇を、罪を裁くという具体的な場面に当てはめた一条です。好悪にとらわれない公平さが仁、事の真偽を見抜く見識が智、刑の軽重を決めきる決断が勇だと一斎は整理します。公平を仁に配するのは意外にも見えますが、私情を去って相手を一人の人として公正に扱うことこそ、裁く者の仁だという考えでしょう。三つのどれが欠けても裁きは歪みます。人事評価や不祥事の処分など、人を裁く立場に立つとき、感情を排し、事実を尽くし、そのうえで決めきるという三つを備えているかを点検する手がかりになります。
この章句が説くこと
智仁勇公平決断裁き為政
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