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言志四録 / 言志後録 第百七十九条 白は五色の原

白能受衆采。五色之原也。賁之極無色爲白賁。素以爲絢。白也。素其位而行。白也。素履之吉。白也。余甞攷之五色之原起於白。白之凝聚爲靑。靑之舒暢爲黃。黃之爛熟爲赤。赤之積累爲黑。黑之極至。又歸於白。生出流行。葢亦如此。

新字:白能受衆采。五色之原也。賁之極無色為白賁。素以為絢。白也。素其位而行。白也。素履之吉。白也。余甞攷之五色之原起於白。白之凝聚為青。青之舒暢為黄。黄之爛熟為赤。赤之積累為黒。黒之極至。又帰於白。生出流行。葢亦如此。

書き下し

白は能く衆采を受く、五色の原なり。賁の極、色無きを白賁と為す。素以て絢を為すは、白なり。其の位に素して行ふは、白なり。素履の吉は、白なり。余嘗て之を攷ふるに、五色の原は白に起こる。白の凝聚するを青と為し、青の舒暢するを黄と為し、黄の爛熟するを赤と為し、赤の積累するを黒と為す。黒の極至は、又白に帰す。生出流行も、蓋し亦此くの如し。

現代語訳

白はさまざまな色彩を受け入れることができ、五色の根源である。(易の)賁(かざり)の卦の極みで色のないものを「白賁」という。「素(白地)があってこそ絢(あや)となる」(論語)というのも白である。「その位に素して行う」(中庸)というのも白である。「素履(飾らない歩み)の吉」(易)というのも白である。私がかつて考えたところでは、五色の根源は白から起こる。白が凝り集まると青となり、青がのびやかに広がると黄となり、黄が熟しきると赤となり、赤が積み重なると黒となる。黒が極まると、また白に帰る。万物が生まれ出てめぐり流れるのも、おそらくまたこのようなものであろう。

解説

白という色を手がかりに、飾らない素朴さの価値と万物の循環を論じた一条です。易の賁卦の最後の爻「白賁」は飾りの極みがかえって無地に帰ること、『論語』八佾篇の「素以て絢を為す」は白地があってこそ彩りが映えること、『中庸』の「其の位に素して行ふ」は置かれた立場のまま飾らず行うこと、易の履卦の「素履」は素朴な歩みを指します。一斎はこれらを「白」の一字で貫き、さらに白から青・黄・赤・黒へと移り、また白に帰る色の循環を万物の生成になぞらえました。経書を縦横に結ぶ一斎らしい思索です。多くの色を受け入れる白のように、先入観のない素地を保つことが、人や組織の可能性を広げるのかもしれません。

この章句が説くこと

素朴白賁易循環本分

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