呻吟語 / 内篇・養生・太樸は天地の命脈
太樸,天地之命脈也。太樸散而天地之壽妖可卜矣。故萬物蕃,則造化之元精耗散。木多實者根傷,草出莖者根虛,費用廣者家貧,言行多者神竭,皆妖道也。老子受用處,盡在此中看破。
新字:太樸,天地之命脈也。太樸散而天地之寿妖可卜矣。故万物蕃,則造化之元精耗散。木多実者根傷,草出茎者根虚,費用広者家貧,言行多者神竭,皆妖道也。老子受用処,尽在此中看破。
書き下し
太樸は、天地の命脈なり。太樸散じて天地の壽妖卜す可し。故に萬物蕃れば、則ち造化の元精耗散す。木の實多き者は根傷み、草の莖出づる者は根虛し、費用廣き者は家貧しく、言行多き者は神竭く。皆な妖道なり。老子の受用の處は、盡く此の中に看破す。
現代語訳
大いなる素朴さは、天地の命脈です。素朴さが散れば、天地の寿命の長短は占えます。だから万物が茂れば、造化の元の精が消耗します。実の多い木は根が傷み、茎を多く出す草は根が虚ろになり、費用の多い家は貧しくなり、言葉と行いの多い人は精神が尽きます。どれも早死にの道です。老子が使いどころとしたのは、すべてこの中に見抜かれています。
解説
素朴さを命脈とし、そこから消耗の法則を四つ並べます。実の多い木、茎の多い草、出費の多い家、言行の多い人。どれも外に出す量が多いぶん、根や中身が痩せる。植物から家計、そして人へと同じ理が当てはめられます。老子の要点がここにあるという結びで、素朴さの意味が消耗の少なさとして説明されています。素朴さの意味が、消耗の少なさとして説明されています。
この章句が説くこと
素朴消耗根言行老子
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・應務・無用の樸は君子貴ばず無用の樸は、君子貴ばず。機械變詐を事とせずと雖も、德慧術知に至りては、亦た無かる可からず。
-
『呻吟語』内篇・應務・巧は氣化の賊なり巧なる者は、氣化の賊なり、萬物の禍なり、心術の蠹なり、財用の災なり。君子貴ばず。
-
孫子・作戦篇力屈き財殫き、中原内は家に虚し。百姓の費、十に其の七を去り、公家の費、破車罷馬、甲冑矢弩、戟楯蔽櫓、丘牛大車、十に其の六を去る。
-
論語・八佾篇子夏問いて曰く、「巧笑倩たり、美目盼たり、素以て絢を為すとは、何の謂ぞや」と。子曰く、「絵事は素より後にす」と。曰く、「礼は後か」と。子曰く、「予を起こす者は商なり。始めて与に詩を言うべきのみ」と。
-
論語・先進篇子曰く、先進の礼楽に於けるは、野人なり。後進の礼楽に於けるは、君子なり。如し之を用いば、則ち吾は先進に従わん。
-
『呻吟語』内篇・應務・君子は人に敵して以て自ら全うするを欲せず兩つ相磨蕩すれば、皆な損する有りて俱に全き無し。特だ大小久近のみ。利刃終日斷割すれば、必ず缺折の時有り。砥石終日磨礱すれば、亦た虧消の漸有り。故に君子は人に敵して以て自ら全うするを欲せざるなり。