論語 / 先進篇
子曰:「先進於禮樂,野人也;後進於禮樂,君子也。如用之,則吾從先進。」
新字:子曰:「先進於礼楽,野人也;後進於礼楽,君子也。如用之,則吾従先進。」
書き下し
子曰く、先進の礼楽に於けるは、野人なり。後進の礼楽に於けるは、君子なり。如し之を用いば、則ち吾は先進に従わん。
現代語訳
先生がおっしゃった。「先輩たちの礼楽(礼儀と音楽)のあり方は、(今の人から見ると)田舎者のように素朴である。後輩たちの礼楽のあり方は、(今の人から見ると)君子のように洗練されている。もし私が礼楽を用いるなら、私は先輩たちのやり方に従おう。」
解説
洗練より素朴を選ぶ、という宣言である。ここで注意したいのは、孔子が世間の評価をそのまま引用していることだ。先進は野暮で、後進は洗練されている。世間はそう見ている。それを否定せず、それでも自分は先進を採ると言う。洗練とは、余分を削ぎ落として見栄えを整える過程であり、同時に、なぜそうするのかという理由も削ぎ落とされる過程でもある。素朴なものには理由が残っている。組織の制度でも、初期の泥臭い運用のほうが目的に忠実で、洗練された後の運用は形が整うほど中身が抜けていることがある。改善を重ねた仕組みほど、いつのまにか何のためだったかが分からなくなる。洗練を疑う視点を持っておく価値はある。
この章句が説くこと
礼楽素朴洗練原型目的
関連する章句
-
言志四録・言志後録 第百七十九条 白は五色の原白は能く衆采を受く、五色の原なり。賁の極、色無きを白賁と為す。素以て絢を為すは、白なり。其の位に素して行ふは、白なり。素履の吉は、白なり。余嘗て之を攷ふるに、五色の原は白に起こる。白の凝聚するを青と為し、青の舒暢するを黄と為し、黄の爛熟するを赤と為し、赤の積累するを黒と為す。黒の極至は、又白に帰す。生出流行も、蓋し亦此くの如し。
-
『呻吟語』内篇・養生・太樸は天地の命脈太樸は、天地の命脈なり。太樸散じて天地の壽妖卜す可し。故に萬物蕃れば、則ち造化の元精耗散す。木の實多き者は根傷み、草の莖出づる者は根虛し、費用廣き者は家貧しく、言行多き者は神竭く。皆な妖道なり。老子の受用の處は、盡く此の中に看破す。
-
『呻吟語』内篇・應務・無用の樸は君子貴ばず無用の樸は、君子貴ばず。機械變詐を事とせずと雖も、德慧術知に至りては、亦た無かる可からず。
-
『酔古堂剣掃』集醒・童子は智少なくして愈〻完し童子は智少なし、愈〻少なくして愈〻完し。成人は智多し、愈〻多くして愈〻散ず。
-
『酔古堂剣掃』集綺・野花目に艷なり野花目に艷なり、必ずしも牡丹ならず。 村酒人を醉はしむ、何ぞ綠蟻を須ゐん。
-
『呻吟語』内篇・應務・巧は氣化の賊なり巧なる者は、氣化の賊なり、萬物の禍なり、心術の蠹なり、財用の災なり。君子貴ばず。