酔古堂剣掃 / 集醒・童子は智少なくして愈〻完し
童子智少,愈少而愈完;成人智多,愈多而愈散。
書き下し
童子は智少なし、愈〻少なくして愈〻完し。成人は智多し、愈〻多くして愈〻散ず。
現代語訳
子どもは知恵が少ないのですが、少なければ少ないほど心はまるごと整っています。大人は知恵が多いのですが、多ければ多いほど心はばらばらに散っていきます。
解説
子どもの素朴さと大人の知恵を比べ、知恵が増えるほど心が散ることを指摘した対句です。完は欠けることなく整っていること、散はばらばらに散らばることです。子どもは知っていることが少ない分、心が一つにまとまり、純粋で満ち足りています。大人は多くを知っている分、あれこれ考えを巡らせ、心が分散して落ち着きません。老子の、学を為せば日に益し、道を為せば日に損すという言葉や、赤子の心を理想とする考えにも通じます。知識や経験を積むことは大切ですが、それで心が散らかっては本末転倒です。ときには知っていることを脇に置き、子どものように一つのことに没頭する時間を持ちたいものです。
この章句が説くこと
素朴赤子知恵自然修身
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