言志四録 / 言志後録 第百七十七条 実言は物を動かす
實言。雖芻蕘之陋。足以動物。虛言。雖能辯之士。不足感人。
新字:実言。雖芻蕘之陋。足以動物。虚言。雖能弁之士。不足感人。
書き下し
実言は、芻蕘の陋と雖も、以て物を動かすに足る。虚言は、能弁の士と雖も、人を感ぜしむるに足らず。
現代語訳
真実の言葉は、草刈りや木こりのような身分の低い者の口から出ても、人を動かすのに十分である。うその言葉は、弁舌の巧みな者が語っても、人を感動させるには足りない。
解説
言葉の力は、話し手の地位や弁舌の巧みさではなく、そこに実があるかどうかで決まるという一条です。「芻蕘」は草刈りと木こり、つまり身分の低い人のこと。『詩経』に「芻蕘に詢る」とあり、昔の聖王は身分の低い者の言葉にも耳を傾けたとされます。真実の言葉は飾りがなくても人を動かし、中身のない言葉はどれほど雄弁でも人の心に届かない。「物を動かす」の物は人や世の中を広く指しています。プレゼンや説得の技術が重んじられる今日でも、聞き手が最後に感じ取るのは、話し手が本当にそう思っているかどうかです。話し方を磨く前に、言うべき実があるかを確かめる手がかりになります。
この章句が説くこと
誠言葉説得実と虚信頼
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